クラスメソッドのテレワークを支える仕組みをご紹介します
はじめに
現在、新型コロナウイルス対策として多くの企業がテレワークを推奨しています。クラスメソッドも1月末より原則テレワークとしており、現在では全てのオフィスを閉鎖し、98%の社員がテレワークで働いています。残り2%は郵便物の受け取りや工事立ち会い等、必要な場合のみ出社するケースです。
しかし様々な報道を見ると、テレワーク自体は多くの企業で導入され、世界全体では80%の人がテレワークを実施しているものの、日本企業においては未だに出勤していたり、とても制限された環境の中でテレワークを実施し成果を発揮できなかったり、様々な問題が発生しています。
以前ブログ記事にしましたが、テレワークは単に会社が宣言すれば良いわけではありません。それを支える企業カルチャーも、そのための仕組みも重要です。
クラスメソッドでは様々なSaaSサービスを組み合わせて、テレワークを実現しています。そこでこの記事では、クラスメソッドが利用している各種SaaSサービスをご紹介し、どのような仕組みでテレワークを実現しているのかをお伝えします。
なお、本情報は現時点のものであり、より良いものがあれば随時入れ替えたり、使い分けたりしています。非常に多くのSaaSサービスを使っているように見えると思いますが、これは試行錯誤によるものであるとご理解ください。逆に言えば、失敗を恐れずに様々なサービスの利用にチャレンジし、良いものを残し不要なものを止めていくことが、テレワークを支える仕組みを作るためには必要だと考えています。
クラスメソッドのテレワークを支える仕組み
PC
クラスメソッドの社員には原則としてPC(Mac/Windows)を支給しています。しかし、今回の新型コロナウイルス禍のケースでは、ベンダー側の事情により入荷が間に合わなかったり、そもそも海外での手配が難しいケースが発生しました。そこでAWSが提供するDaaS(Desktop as a Service)であるAmazon Workspacesを活用しています。
Amazon Workspacesを利用することで、個人PCでも社内の業務サービスやリソースにアクセスすることが出来ます。またIPアドレスによるアクセス制限も容易です。一点だけ、Workspacesを使う場合にはローカルPCのカメラが使えませんので、後述するビデオ会議には少々の支障がありますことをご留意ください。
チャット
在宅だけでなく、様々なロケーションで働くメンバーが多い弊社では、以前から社員同士のやり取りをチャット中心に行ってきました。現在はSlackを活用しています。
既に多くの企業が利用しているサービスなので多くは書きませんが、社員同士の雑談や、絵文字を使ったコミュニケーションなど、シームレスなコミュニケーションが可能なのはSlackの良い点だと思います。とはいえ文字コミュニケーションだけでは完結出来ないケースも多いので、後述するビデオ会議も活用しています。また文字コミュニケーションは不慣れな人には難しかったり、余計なトラブルが発生する場合もありますので、文字コミュニケーションの教育はしっかりと行うことをおすすめします。
メール/カレンダー/ドキュメント
G suiteを使っていますので、Gmail/Googleカレンダーが全社標準ツールです。
各社員PCにはMicrosoft Officeが導入されているものの、社内のドキュメント共有はGoogleドライブを始めとしたG suiteツール郡を活用しています。特にSpreadsheetsはアンケートやコメント募集でかなり活用しています。
ビデオ会議
G suiteを使っていますので、Google Meetが標準ツールです。全オフィスの会議室にChromeboxを導入しており、会議室の予約からGoogle Meetでのビデオ会議の参加まで、Googleカレンダーで行えるようになっています。
ただし、Google Meetに不足しているテレワーク用の機能を補うべく、Zoomを使うケースも増えてきています。またAmazon Chimeを使う場合もあります。ここはお客様に合わせて使い分けています。
ビデオ会議はマイクとスピーカーによって品質が全く変わりますので、多くの社員が外部デバイスを購入して使っています。スピーカーマイクを使う人も、マイク付きヘッドホンを使う人もいます。ここは好みですね。
シングルサインオン
サテライトオフィス・シングルサインオン for G Suiteを使っています。G suiteとの連携においては全く不満無く、必要な機能が揃っています。社内ツールのほとんどがこのサテライトオフィスによるSSOに集約されています。
Wiki
社内WikiはConfluenceを使っています。社内向けの各種ドキュメントや、各オフィスの情報/共有事項等がこちらに整理されています。また各チームの週報や月報など、基本的に社内の全ての情報をConfluenceに集約しています。
ただ、全ての情報を集約したがゆえに、検索性が悪い(ある単語で検索すると整備されたドキュメントから個人の報告ページまで検索結果に表示される)というのが目下の悩みどころです。なにか良いソリューションがあればぜひ教えて下さい。
タスク管理
タスク管理は個人に一任していますが、最も多く使われているのがTrelloです。
Trelloはチームでタスクを共有することが出来ますので、カンバン方式のチーム運営に役立ちます。ドラッグ&ドロップで直感的に操作出来るところが良いです。
ワークフロー
SSOとしてサテライトオフィスを使っていますので、ワークフローはサテライトオフィス・ワークフロー for G Suiteを使っています。ワークフローとしての機能は必要十分です。
正直に言うと、個人的にはワークフローのトラッキングに少し不満があって、今後改善していきたいポイントの一つです。
電子署名/契約書管理
外資系企業とのやり取りではDocuSignを使うことが多く、国内企業だとCloudSignを使う事が多いです。ここはお客様によって使い分けています...というか、使い分けざるを得ないのが現状です。どちらかに統一したいのですが。
しかし、未だに電子署名を使えないケースもあり「自宅で印刷し、署名or捺印して、PDFで送付、後日郵送」をすることもあります。早く無くなってほしいですね。
勤怠管理
King Of Time(KoT)を使っています。
KoTでは、PCやスマートフォンから打刻することが出来ますので、テレワークでも各自が自宅で打刻出来ます。休憩等の打刻、有給の申請等も当然可能です。以前のブログで書いた通り、弊社では勤務時間や打刻時間をいちいち細かく管理していないのですが、労務管理の観点で必要なことだと認識しています。残業が多かったり、有給を取得していなかったりするメンバーを早期に発見し、マネージャーがケアすることが出来ます。
経費精算管理
Moneyforwardクラウド経費を使っています。
お恥ずかしいことに、弊社は数年前まで経費精算をExcelに記入し、印刷し、上長が捺印し、それを領収書と一緒に本社に郵送していました。当時僕はマネージャーだったのですが、この捺印という作業が苦痛で苦痛で仕方がなかったことを覚えています。MFクラウド経費導入以降、全てオンラインで経費を入力し、マネージャーもオンラインで承認し、後日領収書原本だけ本人が会社に提出、というフローに変わり、本当に楽になりました。
出張手配
弊社ではホテルは東横イン、飛行機はスカイマークと、会社契約を結んでいます。会社契約の場合はポータルサイトが提供されますので、それぞれオンラインで予約すると、予約情報がメールで通知されます。なので出張手配には電話等は一切必要ありません。会社契約の場合、精算は請求書で行われますので、個人の建替精算が必要ありません。
名刺管理
SanSanを使っています。全オフィスに専用スキャナーが設置されており、全社員が所持している名刺情報を一元管理出来ます。営業活動においては大変役立っています。
しかし、残念なことに現在はオフィスに行かないのでスキャナーを使うことが出来ず、また打ち合わせもオンライン主体なので、そもそも名刺を受け取ること自体がありません...先日の報道で、オンライン名刺交換サービスを実施すると発表されましたので、こちらに期待しています。
なお、SanSanのモバイルアプリを使うと、スマホのカメラで名刺を撮影し登録できるので、やむを得ずテレワークで名刺を頂いた場合にも名刺情報を社内に共有できます。
CRM(顧客管理)
Salesforceを使っています。全営業メンバーがお客様の情報や案件の動向、現状のステータス、受注管理を一元で行えています。以前であれば隣の席の営業メンバーとちょっと会話すれば分かった情報が、テレワークだとそうはいきません。CRMによって情報の錯綜や齟齬の発生を抑止することが出来ます。
リード管理
CRMとしてSalesforceを使っているため、リード管理としてはPardotを使っています。
最近は弊社開催のセミナーやイベントも全てオンラインで実施していますが、その参加者情報等は全てPardotに登録し、後日のフォローアップに繋げています。以前オフラインでイベントを開催していたときは、名刺情報をSanSanに取り込んだ上で、Pardotに連携していました。今後はその流れも変わり、オンラインでのリードが中心になっていくだろうと思います。
請求書管理
Moneyforwardクラウド請求書を使っています。
以前は営業事務メンバーが請求書を印刷して郵送していましたが、現在は全ての請求書が自動で発行され、必要がある場合のみ郵送されています。一切人の手を介していません。請求処理に人的コストを掛けなくてよくなったのは本当に大きな改善でした。改めて弊社の情報部門の皆さんありがとうございました。
構成図作成
インフラのプロジェクトでも、開発のプロジェクトでも、運用でも、様々な場面で構成図やフロー図等を書く必要があります。オンライン作図ツールのCacooは全てのシーンで活躍しています。
オンラインでコラボレーションしながら作図出来ることももちろんですが、過去の案件の構成図が蓄積されていくことで、ナレッジの共有にも役立っています。
プロジェクト管理
社内外問わず、Backlogによってプロジェクトを管理しています。
お客様とのやり取りも全てBacklogで行っています。タスクの管理、進行状況、アサイン者等が把握しやすいのが素晴らしいです。過去のエビデンスが残るのも重要です。
ソースコード管理
GithubをTeamプランで使っています。まぁ、細かい説明は不要ですよね。
オフィス受付
現在弊社の全オフィスが閉鎖されていますが、それでもたまにオフィスに来てしまう人がいます。弊社ではRECEPTIONISTを受付システムとして導入しており、受付されたらSlackに通知が飛びますので、誰もオフィスにいなくてもフォローが出来ます。
採用管理
今後、日本経済は大きな不況に陥っていくことが想定されますが、現時点では弊社は採用を控える気はありません。多くのお客様が困難に直面されている今こそ、我々の力が必要だと考えているからです。そこでまだまだ積極的に採用していきます!で、採用管理にはHRMOS採用を使っています。
インバウンド応募だけでなく、様々なエージェントからの情報、採用の進行状況が一元管理され可視化されますので、多くの採用プロセスが並列で進んでいたとしても問題なく管理出来ます。
労務管理
これもまたお恥ずかしい話なのですが、弊社は数年前まで紙の給与明細を配っていました。多くのメンバーが地方や在宅で働いている昨今、僕がわざわざ出張して給与明細を配っていたこともあります。本当に辛かった...
現在はSmartHRを導入し、給与明細をダウンロード出来るようにしています。
SmartHRの本当に良いところは年末調整です。すごい楽です。紙に書いてたのが何だったんだってくらい楽です。管理側だけでなく社員が楽になるという点で、SmartHRはおすすめです。
英語研修
社員の英語研修として、レアジョブを会社契約しています。
元々英語学習のモチベーションが高いメンバーが多かったのですが、英語研修を開始してから、多くのメンバーの英語力がアップしました。Slackの英語研修チャンネルではいつも学習のTipsやレッスンの話題で盛り上がっています。僕もやっていますが、テレワークだと喋る機会がそもそも減ることに対して、喋ること自体がストレス解消の一環になっています。
さいごに
以上、クラスメソッドのテレワークを支える仕組みをご紹介しました。前述したとおり、私達は多くの試行錯誤を積み重ねた結果、スムーズにテレワーク出来る環境を作り上げました。もしご興味がある会社様がいらっしゃればいつでもお声がけください。我々の知見を共有させて頂ければと思います。
合わせて参加したい
4/16(木)に「クラスメソッドのテレワーク推進セミナー 〜在宅勤務率98%達成!成功要因はしくみと文化づくりにあり〜」というウェビナーを開催します。
クラスメソッドは、社内外への新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、1月より全拠点でリモートワークの推奨を宣言しています。警戒レベルが引き上げられた現在では、在宅勤務率が98%を超えました。 当社では東日本大震災が発生した2011年からテレワークを導入しており、テレワークを実現するためのインフラやサービスの整備だけでなく、オフィスにいなくても円滑に仕事を進められる雰囲気や文化の醸成にも注力してきました。 今回のウェビナーでは、クラスメソッドにおけるテレワークの取り組みについて、技術的なしくみと文化づくりの2つの視点でご紹介いたします。
このブログの内容も突っ込んでお話しますので、ぜひご参加下さい!